2012年10月24日

iBooks Author 2.0はiBooks 3.0はどこが変わったのか

 アップルから2012年10月23日に新製品が怒濤のように発表された。主要製品の半分以上が新しくなった。もっともいずれも下馬評のみ先行したので、予想の範囲に留まるのか、あるいはその期待を超えるのかということに注目が集まった。概ね予想通りといってよく、期待を裏切ったのは、iPad 4の予想外のリリースと、さらに薄くなったiMacぐらいだろうか。

  「iPad mini」というネーミングが下馬評どおりというのは、あえて世間の期待に添ってネーミングしたのかと勘ぐりたくなってしまう。アップルであれば、「mini」などという手垢のついたネーミングではなく、iPadの違った使い方を提案するネーミングであってもよかったと思うがどうだろう。

 iPad miniとiPad 4がリリースされて、タブレットは新しい時代を迎えたといってよい。iPad miniはiPad 2のほぼ縮小版で、iPad 4thは最新のデュアルコアのA6Xチップを採用し、LTEに対応したことがいままでのiPad 3rdの違いとなる。3rdと4thはそれ以外にほとんどハード的に変わらない。iPadは相変わらず世代番号を製品に付加しないので、3rdとか4thというしかない。そういえば、App StoreでアプリをリジェクトされたときのiTunes Connectからのメールでは、第三世代のiPadを

iPad 3rd Gen

と呼んでいたので、アップルの社内ではそう呼んで区別しているのだろう。アップルに追随するのであれば、今回のiPadは「iPad 4th Gen」と呼ぶのがいいかもしれない。あるいはiMacのようにiPad 3rdは「iPad (Early 2012)」、10月発表分を「iPad (Late 2012)」と呼ぶという手もある。

 iPad miniは今のところ賛否両論みたいだが、これでアマゾンのタブレットは売れなくなるのではないか。iPad miniがあれば、アマゾンのKindleはほぼ不要で、充電時間とデバイスの重さが気になるユーザーだけが、Androidベースのタプレットを使うことになりそうだ(販売価格もあるけど)。iPhone 5は歩留まりがよくないといわれるが、iPad miniはある意味ではレガシーな生産設備で製造できるので、大量の注文があってもなんなく供給できそうだ。Retina対応のiPad miniがリリースされれば、7インチサイズタブレットの趨勢は決まってしまいそうである。

 iPad miniはiPad 4th Genのリリースで、iBooksも3.0にアップデートされた。iBooks 3.0の新しい機能を簡単にいうと

コンテンツをiCloudに対応
テーマでスクロール(巻物のように表示)
Facebook・Twitterなどのソーシャル機能
EPUB 3の日本語の縦書きに対応


あたり。スクロール表示は、「A」ボタンをタップすると、[テーマ]というメニューが表示されるので、そこで「スクロール」を選択する。なおiPadで「フルスクリーン」というテーマが用意されているが、iPhoneではリストされなかった。「EPUB 3の日本語の縦書きに対応」といわれているが、まだ確認してはいない。CSSとかに癖がありそうな予感。

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*iPadの「A」ボタンをタップして「スクロール」を選択するとスクロールで表示される。

 もう一つのアップデートはiBooks Authorのニューバージョンだろう。こちらも2.0にアップデートした。拡張された機能で覚えておきたいことは

縦向きのみブックの作成
フォントを埋め込んでブック書き出し
ウィジェットのスクロールサイドバーとボップオーバー


ぐらいだろうか。公開までのワークフローはわかりやすくなって、iTunes Producerでアップするだけにはなったが、いかんせん日本語のブックがiBooksにアップできるとアナウンスされていないので、相変わらず「仏作って魂入れず」状態である。いまだに日本でのiBookstoreの責任者が見つからないに違いない。

 縦向きのブックは、縦向きのみになる。いままでは横向きは固定レイアウトで縦向きはリフローだった。ただし横向きのみの固定レイアウトのみにすることができた。それを今回は縦向きの固定レイアウトテンプレートを追加した。そのテンプレートを使うと、縦向きの固定レイアウトが使用できる。その場合はテキストのリフローはなし。テキストは横組のみ。

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*iBooks Author 2.0のテンプレートセレクタ。下のテンプレートが縦向きのみのテンプレート。横向きのテンプレートも追加されている。

 フォントの埋め込みはブック書き出し時に設定があるわけではなく、そのまま埋め込みされる。従ってフォントは使い放題といいたいところだが、実はネックがあった。試しにいくつのフォントを指定してiPadでプレビューしたところ、ダイナフォントのDF太楷書体はiPadに反映しなかった。OTFフォントのAdobeの小塚、同じくOTFのフォントワークスのフォント(万葉行書)はiPadに反映された。つまり、フォントの種類やフォーマットによっては、埋め込みできないケースがある。DF太楷書体はWindows環境のTTフォントだが、Acrobatでは埋め込み不許可のフラグはたっていない。

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*iBooks Authorでのフォントのサンプルファイル。いくつかのフォントを指定する。

   ↓

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*iPadでの横向きの表示。チャプタタイトルのFOT万葉行書フォントは埋め込まれいる。TTの太楷書体は埋めまれていない。

   ↓

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*縦向きのリフローにすると、チャプタタイトルのFOT万葉行書はデフォルトフォントに戻る。

 さらに興味深いのは、横向きでは埋め込みフォントはiPadに反映されたが、縦向きにすると埋め込みフォントが認識しないことがあった。縦組にしたとき、チャプタタイトルのFOT万葉行書がデフォルトのヒラギノ角ゴにさし変わってしまった。よくみると、小塚明朝は埋め込まれたままなので、チャプタテキストが縦向きでは埋め込みに対応していないのかと思い、チャプタテキストをヒラギノ角ゴW8にしたら、やはりヒラギノ角ゴW3になった。縦向きでは本文はともかくチャプタタイトルやセクションタイトルには埋め込みフォントは使えないかもしれない。

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*チャプタタイトルをヒラギノ角ゴに変更。

   ↓

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*チャプタタイトルのヒラギノ角ゴW8。アップルのフォントでiPadにはインストールされていない。

   ↓

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*ヒラギノ角ゴW8のチャプタタイトルは埋め込まれていない。フォントの種類は関係なさそう。本文のFOT万葉行書は埋め込みが反映されている。

 スクロールサイドバーはテキストをテキストボックス内でスクロールするもので、Flashでよく使う機能だ。ボップオーバーは画像をダブルクリックするとスクロールサイドバーのテキストボックスが表示される。図版のキャプションなどは、ボップオーバーが便利そうだ。

 なお、アップルの木田さんのツイートによると、iBooks 3.0には「游明朝体」と「游ゴシック体」が搭載されているらしい。ウエイトは不明。もっともこの2書体、無料では使えないので、使いたい場合はMacintosh用のフォントを買うしかなさそうだ。それともApp Storeで安売るとかそういう選択はないのだろうか。EPUBの場合は、フォント名を指定して使えるかどうかの検証は必要だろう。




*iPadにインストールされているフォントと全く同じかどうかはわかりません。


◆アップルの「iBook」、連続スクロールの機能など追加[CNET]
http://japan.cnet.com/news/service/35023463/?ref=rss

◆7.9インチiPad miniは329ドルから、iBooksは3.0でEPUB 3サポート拡大[ITmedia]
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1210/24/news036.html

◆Apple、「iBooks」「iBooks Author」の新バージョンを公開[マイナビ]
http://news.mynavi.jp/news/2012/10/24/074/

◆「游明朝体」と「游ゴシック体」についての木田泰夫さんのtweet
https://twitter.com/kidayasuo/status/260916305488654338

◆游明朝体 Pr6 R[アマゾン]
http://amzn.to/WI5FKV

 


posted by @jink0222 at 18:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | iBooks Author | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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