複数のページスタイルを使い分けるとき、やっかいなのは本文のテキストサイズだった。たとえばiPhoneの本文を8ポイント、iPadを12ポイントとする。iPhoneサイズで作成したドキュメントをiPadサイズのページスタイルにすると、本文テキストの段落スタイルだけでなく、ルビテキストやヘッダーのテキストも変更しなければならい。
レイアウトを変更したときテキストサイズを変更するのはある意味では普通のことだが、もしテキストサイズを変更せずにすめばこれほど便利なことはない。そこで思いついたのが、本文テキストを変更せずにページスタイルのサイズを変更することだった。つまりiPhoneのページスタイルを150%にする。そうすると本文テキストサイズは同じサイズのままとなる。
iPhoneサイズのPDFといっても、実寸法で作成しなければならないわけではない。サイズが異なっていても、デバイス内のPDFビューワーに取り込むとデバイスサイズに最適化されて変倍される。必ずしも実寸法で作成する必要はない。もともとiPhoneのサイズは小さいので大きめで作成すると、Acrobatで閲覧するときはちょうどいい。
文字組の設定はややこしい。WindowsでもMacintoshでも発生するのは、ルビを設定したときである。ルビを追加すると、親文字がずれるのてある。要するに親文字とルビ文字合わせて行の中央に配置するわけである。こんなデフォルト設定はあり得ない。さらに行間も均一にならない。これは段落の設定で対応できる。
Macintoshのみでは文字の左端が切れるという問題がある。だいだい段落末のテキストの左端が表示されない。テキストの表示エリアとテキストの配置位置がずれているようだ。こちらも段落スタイルで設定変更が必要だ。Macintosh版ではベータテストがあまり行われていないようだ。
というわけで行間をほぼ二倍にして、ルビを入力しても親文字がずれたり行間にばらつきがでないようにする設定をやっと探り出した。ここで残る問題はMacintosh版の縦組をPDFエキスポートすると、文字が回転するという問題であった。Windows版では縦組は問題なくPDF化されるが、Macintosh版での文字が回転する。

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*縦組で作成しているのに、MacintoshではPDFエキスポートすると文字が横組に回転してしまう。プリンタ経由で書き出すと文字は回転しない。
MacintoshではプリンターからPDFを作成できるのでその機能を利用する。ただしPostScriptプリンタではうまくいかなかった。どうしてもどこか余計なマージンが追加されてしまうのだ。そして用紙サイズが変わってしまう。IPプリンタやPostScriptの仮想プリンタも試したが駄目だった。こちらはカスタム用紙サイズを認識しない。
そこでインクジェットプリンタのプリンタドライバからPDFを作成してみた。使ったのはCanonのiP4930である。こちらではカスタム用紙サイズで指定したサイズでPDFが作成できた。他のインクジェックプリンタについては検証していないが、基本的な構造は同じなので、同様の方法で書き出せると思う。なお、プリンタ経由でPDFを作成すると、ドキュメント内のURLリンクは反映できない。
ページスタイル切り替えでページレイアウトを変更する実際の動作を動画にしてみた。ご興味があれば下記の動画をご覧いただきたい。
OpenOfficeで電子書籍用PDFをマルチレイアウトして書き出す方法
◆OpenOffice Writerで電子書籍用PDFをマルチレイアウトする動画
http://youtu.be/BAGLs8hccfg
◆OpenOfficeで電子書籍用PDFをマルチレイアウトして書き出す方法
http://www.incunabula.co.jp/book/OOW/
◆OpenOfficeで電子書籍用PDFをマルチレイアウトして書き出す方法:Lite版
http://www.incunabula.co.jp/book/OOW/indexLite.html

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