2013年08月23日

epub固定レイアウトで展開するマルチブックストア戦略

 iBookstore用のepub固定レイアウトの編集手順がやっと見えた。epubcheckで調べて一つ一つエラーを潰していくしかないが、固定レイアウトの場合はコード自体はそれほど複雑ではなく、スタイルシートもほとんど使わないので、差し替える部分、追加する部分が決まっている。編集ポイントさえ分かれば簡単にできそうだ。

  「iBooksのepub3固定レイアウトをSigilから作成する方法」は、まず最初にSigilで全体の編集を行う。基本的には画像ファイルを差し替えるだけ。それでiBooksにインストール可能な固定レイアウトのepub2が完成する。ただしそのままではiBookstoreには申請できない。epubcheckでエラーが表示されるからだ。

 そこでepubを解凍して、それぞれのファイルを編集する。ここは少し面倒だ。以前は「container.xml」を書き換える必要があると思ったが、実際やってみると書き換えなくてもエラーはでなかった。ということで必要なのは

content.opfの書き換え
XHTMLファイル宣言の変更
nav.xhtmlの追加


となった。「content.opf」内のpackageとmetadataはまるごと変更すればよい。表紙画像の指定とnav.xhtmlは追加するにmanifestを編集するくらいだ。spineも「toc="ncx"」を削除すればよい。

 XHTMLファイル宣言の変更のすべてXHTMLファイルで行う。これはマルチファイル置換できれば簡単に処理できる。WindowsではいくつもフリーソフトがあるだろうがMacintoshにはあまりない。シェアウエアのJeditがあれば簡単にできるが、調べてみるとMac App Storeに「TextWrangler」という無料アプリがあって、これを使うと同じようにマルチファイル置換できた。まあでもJeditくらいは持っておいてほしいものだ。

 というわけで第二章の目次はこんな感じ。

2-1 epubファイルをZIP解凍して展開する
2-2 OEBPSフォルダ内のcontent.opfのpackageを差し替える    
2-3 OEBPSフォルダ内のcontent.opfのmetadataを差し替える
2-4 OEBPSフォルダ内のcontent.opfのspineを編集する
2-5 XHTMLファイル冒頭の記述を差し替える
2-6 nav.xhtmlを追加して目次を編集する
2-7 固定レイアウトにページジャンプを追加する


 最後のページジャンプ、ページ遷移は少しややこしい。ページジャンプする場合は、svgで表示する画像を指定しなければならない。XHTMLにsvgのタグを挿入して、タップ位置とリンク先を指定する。それだけでなく、スタイルシートにも画像サイズの指定が必要になり、manifestにもsvg属性を追加する。ここはけっこう面倒かもしれない。

 このページジャンプ機能でタップ位置を指定できるのであれば、XHTMLファイルにリンクする代わりにvideoタグを挿入してみたが、駄目だった。

element "video" not allowed here
Video element doesn't provide fallback


というエラーが出たのでここであきらめた。固定レイアウトに動画がどうしても必要とは思えないので後回しにした。

 epubの固定レイアウトでは自動でページめくりしたり、音声で読み上げたり、読み上げ音声をハイライトしたりできるはすだが、一般的な電子書籍にその機能が必要だとはあまり思えない。そこを追求することはまた改めて考えたい。

 epubの固定レイアウトのメリットは作成が比較的簡単であるということにつきる。PDFなどの固定レイアウトした電子書籍があれば、あとは人件費だけでできてしまう。iBookstoreに用に作成できれば、少し手を入れればKindle用もKobo用も作成は簡単だ。必要なのは

テキストエディタ
Sigil(epub2編集ツール)
StuffIt Expander(zip解凍ツール)
TextWrangler(マルチファイル置換)
Automator(epub作成、epubcheck)

くらいで、すべて無料で入手できる。レイアウトもOpenOfficeを使えばこちらも費用はかからない。

 ご存知のように売れている電子書籍の大半はコミックである。iBookstoreでは有料コンテンツの上位にはコミックばかりが並ぶ。Kindleでは一般書籍とコミックは同じランキングには並ばないが、昨年末の販売で「Kindleストアでのコミックの販売部数が紙のそれの半数を超えた」とわざわざいうくらいだから、販売数についてはコミックの比率はかなり高そうだ。

 そうすると世間で読まれている電子書籍の半分くらいはコミックの固定レイアウトかもしれない。つまり電子書籍はリフローありきではなく、リフローは選択肢の一つでしかない。大きな流れとしてはepubは固定レイアウトが主流となっていくのではないか(と思うときもある)。

 たとえばiPhoneでB6サイズのコミックを読むのはかなりつらい。もともとのコミックはA4サイズであり、それを単行本にするときに縮小している。iPhoneではさらに小さくなる。確かに読みにくい。しかしそれも慣れである。サイズの変倍比率は慣れるが、iBooksのリフローでXHTMLで巻物で閲覧する方がもっと違和感がある。あれではほとんど「本」を読んだ気にならない。サイズが小さくても固定レイアウトの方が読みやすいのではないか。

 そう考えると、電子書籍は固定レイアウトで作成して、固定レイアウトのまま配信する方法もありだろう。固定レイアウトだと複数のプラットフォーム(というよりブックストア)に簡単に配信できる。ストアというのは書店だから、たくさんの書店に並べる方がトータルの販売数は確実に増える。アメリカのようにKindleさえ押さえておけばという戦略は日本では成り立たない

 その場合でもテキスト主体のものはリフローでもいいわけだが、リフローは中身が勝負となるので、有名な著者の場合はともかくそうでなければ、固定レイアウトの方が訴求しやすいのではないか。いままで書籍のレイアウトに大きなこだわりを持ち続けてきた日本の出版社が、電子書籍になったからといって、版面デザインという付加価値を捨てるのはいかがなものか。画面サイズに合わせることが「正しい」わけではない。そこには電子書籍の付加価値はないのではないかと思う。

 だからレイアウトに価値を持たせて、複数のブックストアにマルチにすばやく展開するのであれば固定レイアウトの方が確実に便利だろう。図版や表が必要な書籍は、すべて固定レイアウトにして配信すればよい。App Storeは(SakuttoBookで)PDFで配信できるし、PDFを画像にすれば簡単に固定レイアウトになる。そういう意味ではepubの固定レイアウト作成ノウハウは必要なスキルになりそうである。



◆Macでマルチファイル検索&置換はTextWranglerがすごい
http://camcam.info/tips/4054

◆Amazon、Kindle Fire HDの売れ行きとKindleストアの状況を語る
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1302/07/news080.html

◆iBooksのepub3固定レイアウトをSigilから作成する方法[DTP-S]
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/epubFIX/index.html

◆PDFをそのままiBooks epubに変換する方法[YouTube]


◆PDFをそのままiBooks epubに変換する方法の無料ダウンロードはこちら
http://bit.ly/14nS39C
*epub2です。iTunesを経由してiBooksにインストールできます。iBookstoreへの申請はできません。

 


posted by @jink0222 at 12:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | iBooksのepub固定レイアウト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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