そのために電子書籍パブリッシャーを目指していた人の多くはiBookstoreやKindleにシフトした。App Storeには大きな壁が立ちはだかり、店に品物を並べることを拒否しているので、他の店を探すしかない。といっても自由に電子書籍を並べてくれるところで、めぼしいところはiBookstoreとKindleくらいしかない。選択肢はあまりない。
ブックアプリの申請が通らなくなって約半年、なんとかブックアプリを簡単に申請する方法はないものかといろいろと試行錯誤を重ねてきた。いままでと同じように電子書籍を作成してApp Storeに並べることができれば、昔のようにApp Storeはにぎわうかもしれない。つまり「こうすれば審査に通る」という方式が分かればいいのである。最近になって、なんとかその道筋が見えてきたという感触が持つようになった。
電子書籍をiBookstoreやKindleで売っても、大きなビジネスにはなりにくいと思う。少なくとも日本ではそうである。Kindleが成功しているのはアメリカだけで、ヨーロッパでは成功しているとはいいがたい。アメリカの自己出版、自主出版(セルフ・パブリッシング)で成功した人たちと同じように、日本で成功者が出るとは到底思えない。アメリカの出版社は概ね確実に売れるものをマーケティングコストをかけてたくさん売ることを目指すので、新規ライターの参入は難しいが、日本では少し才能があって売れそうな作家がいれば、出版社はすぐに飛びつく。隠れた才能が電子出版によって顕現するというのは幻想に近い。
大きなビジネスになりにくいもう一つの要因は、ユーザーは電子書籍が欲しいわけではないということだ。世の中には読書家の人はたくさんいる。けれど、その数は確実に減っている。Kindleデバイスを買う人は読書家に分類してもいいと思う人たちだけど、その数は絶滅危惧種とはいえないまでも、イエローリスト並みに少ないと思う。
昔は学校の先生であれば、岩波と中公の新書はすべて読んでいるよ、というような人はけっこういたが、いま、そういう人はどのくらいいるというのか。岩波と中公でなくともいいが、新書や単行本を月に十冊以上読む人は見事に少ない。KindleからiBookstoreとかで電子書籍を買う人は、概ね絶滅危惧種に近い人たちなので、これから電子書籍ストアのマーケットが大きくなっていくとは到底思えないのである。ブックストアという形態のなかで、電子書籍を販売しても飛躍しては売れないのではないかという危惧は拭いきれないのである。
ビジネスとして考えるのであれば、大きくなっていくマーケットでこそ勝負すべきである。そうなると、鉄壁の審査があってもやはりApp Storeで売るべきではないか。書店で売れるている本を電子書籍化して売るのであれば、KindleやiBookstoreで売るほうがいいが、新規参入するのであれば、大手の出版社には間口の狭いApp Storeの方が分が大きい。App Storeはこれからも確実に大きくなっていくマーケットだからである。
現在App Storeのブックカテゴリーは閑散としている。それは新しいアプリが少ないからである。マクドナルドやミスタードーナツが新製品を出さないと客が来ないように、ブックカテゴリーでも新作が出ないと購入者は寄り付かなくなってしまう。新しいブックアブリがどんどん出るようになれば、以前のようにダウンロードユーザーは戻ってくるのではないかと思うのである。
そのために必要なのは2つある。それは
確実に審査を通す方法
単体アプリをViewerアプリのようにして売る方法
である。これができれば、従来のようにブックアプリをApp Storeに申請することができるのではないか。ということで試してみたのが
◆進撃の巨人、ミスリードの謎
http://bit.ly/1ciakMP

である。話題のアニメ『進撃の巨人』をネタに書き下ろしたもので、文字数は全部で五万字程度しかない。本来であれば、一冊の書籍で申請するべき内容のものだが、構成をストアアプリ形式して申請してある。それでも審査は一発で通過した。単体アプリをViewerアプリのように見せかければ、審査は通るのである。
『進撃の巨人、ミスリードの謎』の具体的な作成方法は次回お届けしたい。まずはダウンロードあれ。
◆SakuttoBook(サクッとブック)でiPhoneアプリを作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/index.html
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