2014年04月22日

アマゾンのKDPセレクトで通信費をタダにする方法

 アマゾンのKDPセレクトを選択するとロイヤリティが最大で70%受け取れるが、通信費が徴収される。通信費の分だけロイヤリティが減る。KDPセレクトを選択すると、アマゾン以外では配信できないが、KindleだけにしてKDPセレクトを使う方がロイヤリティの総額は多くなりそうだ。天引きされる通信費が多くなると、KDPセレクトを使うメリットは小さくなる。通信費をタダにする方法を使えば、KDPセレクトのメリットを最大限享受できる。


 日本でも電子書籍の趨勢は現在はKindleに固まりつつあり、KDPセレクトを使わずに他のプラットフォームで配信するすることもできる。しかし複数の電子書籍ストアで配信する場合は、それぞれのプラットフォームに合わせて電子書籍ファイルを作り直す必要がある。一つのepubファイルを作成したら、そのまま申請できるわけではない。つまり複数のプラットフォームに申請する場合は手間暇がかかる

 あなたの本が確実に売れる本であれば、複数の電子書籍ストアで配信するほうがたくさん売れるだろう。しかしたいして売れないうちはKindleだけに絞った方がいい。金持ちはリスクヘッジで資産を分散するが、貧乏人は資産を集中するのが基本だからだ。最初は集中することで大きな効果を得ることができる。配信する本の数が少ない場合は、一つに集中するのが基本だろう。

 複数のストアで売る場合のポイントはダウロード数ではなく、売上の金額で考えるべきだろう。売上が少なければ、iBookstoreや楽天Koboのkobo writing life用にファイルを作成したり申請する手間賃が合わなくなる。

 たとえば、Kindleで10万円売り上げる電子書籍があるとする。月でも年間でもかまわないが、仮に通信費が5%だった場合、印税はKDPセレクトで6.5万円になる。これをKDPセレクトを使わないとすると、印税は3.5万円になる。iBookstoreや楽天KoboでKindleの半分売れたとし、印税は70%だとすると、iBookstoreや楽天Koboでの印税は3.5万円となる。

 Kindleで10万円の売上がある本をKDPセレクトを使わずiBookstoreや楽天Koboで配信しても、差額は5,000円でしかない。セルフパブリッシングで売上10万円はかなり高い壁ではないか。実際にiBookstoreや楽天Koboを合わせてKindleの販売数の半分も売れるかどうかはけっこう厳しいと思うがどうだろう。多少の利益より配信数を増やしたいかどうかが、KDPセレクトを使うか使わないかのしきい値だろう。印税での収益だけを考えればKindleでのKDPオンリーでいいに違いない。

 さてKDPセレクトで通信費を「0」にするにはどうすればいいのか。それは簡単である。

入稿ファイルサイズを10MB以上

にすればよい。実は日本のKDPセレクトは特別扱いになっている部分があり。それがファイルサイズなのである。KDPセレクトの利用規約の「配信コスト」には

日本での販売では、10 MB以上の書籍に関しては配信コストが差し引かれません。

と書かれている。リフローの電子書籍でも、ファイルサイズが10MB以上あれば通信費、配信コストは発生しないのである。

140422-01.jpg
*なぜか日本だけです

 配信コストは1MBあたり1円だから、通信費(配信コスト)は最大でも9円ということになる。日本だけ特別扱いになっている理由はわからないが、おそらく(売れる)日本の電子書籍の大半が漫画だからではないか。漫画では50MBあると50円が通信コストを差し引かれてしまうので、KDPセレクトで250円で販売すると、実質的な印税は半分の125円になってしまう。こうなるとKDPセレクトの旨味は吹き飛んでしまう。

 ただし漫画以外で10MB以上のファイルサイズにすることは難しい。テキストだけのepubファイルは十万字あっても、数百キロバイトに収まってしまう。そうなると配信ファイルの容量を増やすには、画像をたくさん入れるしかない。画像は容量を食うので、ファイルサイズを肥大化することができる。

 ところが敵もさるもの、そうは簡単にはいかない。Kindleの仕様ではリフロー内の画像のファイルサイズは制限があり

Kindle本のファイル形式は、最大127KBまでのJPEG・GIF画像に対応

となっている(漫画や固定レイアウトは別)。それ以上に大きいサイズはアップロード時にKindleが圧縮を行う。したがって、電子書籍内の画像ファイルが平均100KBだとしても、100個程度必要になってしまう。画像を多用した電子書籍は作成が大変なので、実質的にはリフローで10MB以上は例外的なものになってしまう。

 KDPセレクトを使って250円で売り(現在の最低価格は200円)、配信コストをかけたくない場合は、無理やり画像を多用して10MB以上にしてしまうことはできないことではない。しかしファイルサイズが5MB程度であれば、配信コストは5円。印税は68%程度なので、それほど配信コストを気にする必要はない。漫画の場合は10MBを下回ることはないので、KDPセレクトを選択しても通信費は発生しない。


◆Kindle ダイレクト・パブリッシング利用規約





posted by @jink0222 at 14:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | Kindle | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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