KindleのKDPは何と言っても発行タイトル数が決め手ではないかと思う。一冊や二冊発行しても成果は見えてこないのではないか。まだたいしたことはないが、ここ数ヶ月取り組んで思ったことをまとめてみたい。
まずタイトルはKDPセレクトに登録するべきである。KDPセレクトに登録すると、他のプラットフォームから発行できないが、大手の出版者であればともかく、自己出版レベルではKindleだけに十分だ。日本ではすでに電子書籍の半分以上はKindleで読まれていて、それ以外のプラットフォームの利用者は極めて少ない。他のプラッフォームを考えるのはKindleで売れるようになってからでも遅くない。
KDPセレクトにしたときのデメリットは、販売価格の上限と下限が決まってしまうことだ。
250円〜1250円
の間で値付けが必要となる。KDPセレクトを選択しない場合は99円で売ることができるが、99円本と比較すると価格競争力がなくなってしまう。数を売る場合はKDPセレクトはデメリットが大きい。例えば99円で1000冊売れる本が、250円にしたとき、それに見合うだけ売れるのかということになる。KDPセレクトにするとロイヤリティは70%になるので、ダウンロード数は少なくても釣り合いは取れる。
99円本を1000冊売れるとロイヤリティは35000円である。KDPセレクトにして250円にし一冊あたりのロイヤリティは170円(仮に通信費を5円とする)だとすると、206冊売れるとロイヤリティは同じになる。アマゾンでカードで決済する時、250円と299円で販売数が変わるとは思えないので、販売価格を299円にすると、172冊売れるとロイヤリティは同じになる。
販売価格を小さくすると、たくさん売れることは確かだが、継続して売れる可能性は小さい。ある程度売れると99円本競争の中で埋もれてしまう。そうなると短期的にランキングの上位にあっても、まったく売れなくなってしまう。また継続して売れても販売数を稼がないとロイヤリティは微々たるものになってしまう。
KDPセレクトにしたときのメリットは無料キャンペーンを行うことが可能なことだ。90日の独占販売期間内で5日間、無料でKindleブックを配信できる。無料にするとダウンロード数が増えてランキングに反映して告知効果が高まる。まず知ってもらうには、無料で配信するしかない。無料のKindleブックばかりダウンロードするユーザーも少なくないので、いまのところもっとも確実な方法だろう。
無料キャンペーンを行ったとき、どのくらいダウンロードされるのか試してみた。『進撃の巨人 ミスリードの謎』の続編として『進撃の巨人 ミスリードの謎2 第14巻編』として雑誌連載分で次の巻を構成する内容でテキストを書いてKindleブックを仕上げた。
◆進撃の巨人 ミスリードの謎2 第14巻編 [Kindle版]
そして2日間だけ無料キャンペーンを行った。結果は
第1日目 73DL
第2日目 180DL
第3日目 61DL
となった。合計で314であった。無料キャンペーンは2日間だが、太平洋時間でカウントするので、夏は16時からとなる。16時から24時までが「73」であった。ブログもTwitterも含めて告知は一切しなかった。新しい本を無料にせずに、最初の『進撃の巨人 ミスリードの謎』を無料にするべきだったかもしれない。
残念ながらキャンペーンが終わったあともそれほどは売れなかった。もっとも8月になって第14巻が発行されたときを想定しているので、そのときに売りたいと思っている。
ブックをシリーズ化してその中の一つを無料キャンペーンして、関連のブックを買っていただくというクロスセル戦術は本当に有効なのかと思って、『印刷営業、明日はどっちだ』をKindle化した。アプリ版では最終巻まで整理していなかったが、今回はすべてをまとめ、全5巻プラスαを一括して申請した。
◆印刷営業、明日はどっちだ 1: 弱者が不労所得で儲ける営業方法とは [Kindle版]
◆印刷営業、明日はどっちだ 2: 印刷ノウハウで収益をマルチ化する方法 [Kindle版]
◆印刷営業、明日はどっちだ 3: 印刷技術を四方八方に躊躇なく展開せよ [Kindle版]
◆印刷営業、明日はどっちだ 4: 訪問営業以外の集客ノウハウを確立せよ [Kindle版]
◆印刷営業、明日はどっちだ 5: 序破急で営業を劇場化して切り込め [Kindle版]
◆印刷営業、明日はどっちだ 6 印刷ビジネス閻魔帳: 印刷会社がするローカルエリア営業とは [Kindle版]
まずは第一巻を無料キャンペーンしていこうと考えている。本の中身は古いし、印刷本にしたりアプリ本にしてもさんざん販売してきたので、たくさん売れることは期待していないが、Kindleでのマーケディングのテストとしては手頃ではないかと思っている。
Kindle本でのクロスセルでは、カテゴリーもしくは検索結果を占有することが重要になるだろう。それができれば、無料キャンペーンで告知を広め、KDPセレクトでも電子書籍を販売していけるのではないか。ある程度カテゴリーを絞り込んで電子書籍を増やし、まずは100冊のタイトルを目指したい。KDPセレクト本を100冊出して毎日一冊(毎日平均100ダウンロード)売れれば、けっこうおいしいビジネスになると思うがいかがだろうか。